熊の種類はこんなにある!日本の人食い事件や危険なその生態

熊


ぬいぐるみやアニメのキャラクターなどに使われ世界中でファンの多い動物「熊」。しかし、実際の熊は非常に危険な動物です。
今回は熊の種類や人食い事件、出遭ったときの対策についてご紹介していきます。

 
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熊とは

熊とは、クマ科に属する大型の肉食哺乳類です。アメリカ大陸やアジア各地、北極にも生息しており、現存する大型の肉食動物の中では比較的成功したグループであるといえるでしょう。

熊とは
画像:pixabay

日本でも数種類の熊が生息しており、古くから危険な動物として認識されてきました。熊は日本を代表する危険動物のひとつなのです。

 

日本に生息する熊の種類

ここでは日本に生息する熊の種類をご紹介します。日本列島には2種類の熊が生息しています。

これらの熊はあなたも遭遇する可能性があるということです。

①ツキノワグマ

ツキノワグマは日本の本州や四国に広く生息する熊です。首の白い三日月模様がその名前の由来となっており、日本以外にも中国や韓国、ロシアなどにも生息しています。

ツキノワグマ
画像:Wroclaw zoo

ツキノワグマの全長はおよそ1.2~1.8メートル程度であり、人間の大人や子どもほどの大きさしかありません。しかし、発見されている最大個体の体重は170キログラムを超えています。

ツキノワグマは黒い体毛に特徴的なV字模様を持つため、簡単に見分けることができます。また、熊の中でも特にファンの多い熊でもあります。

出典:wikipedia

 

②ヒグマ

ヒグマは日本に生息する最大の熊です。ヒグマの全長は2.5~3メートルほどと大きく、体重も大きい個体では500キログラムを超えます。体が大きく力も強いため非常に危険な種類の熊であるといえます。

ヒグマ
画像:Malene Thyssen

ヒグマは日本の北海道やアメリカなどにも生息しており、全身が茶色い体毛に覆われています。一般的に熊というとこのヒグマをイメージする人が多いのではないでしょうか。

出典:wikipedia

 

世界に生息する熊の種類

日本の他にも熊は世界中に生息しています。ここでは世界に生息する熊の種類をご紹介します。

これらは動物園でも飼育されているため、国内でも見ることが可能です。

①アメリカグマ

アメリカグマはアメリカやカナダ、メキシコに生息する中型の熊です。別名「クロクマ」とも呼ばれ、真っ黒な体毛をしているのが特徴ですが、黒くない体毛を持つものも存在します。

アメリカグマ
画像:Diginatur

オスの全長は2メートルほどにまで成長し、体重も400キログラムを超えます。狩りの対象とされることも多く、食用として活用されています。

出典:wikipedia

 

②ハイイログマ

ハイイログマはアメリカの北部に生息するヒグマの亜種です。全長は3メートル近くにまで成長し、体重も最大個体では400キログラムを超えるものが捕獲されています。

そのため、古くから現地では危険な動物であると認識されており、「グリズリー」の名前で恐れられてきました。

ハイイログマ
画像:Grizzly bear

ハイイログマは巨体でありながら時速50キロメートルで走ることが可能です。また、泳ぎも得意なため非常に優秀なハンターであることがわかっています。

出典:wikipedia

 

③マレーグマ

マレーグマはマレーシア、インド、カンボジアなどに生息する小型の熊です。全長は1~1.5メートルと小さく、体重も25~60キログラム程度しかありません。

気温が高い地域に生息しているため体毛は短く、英語圏では「犬熊」とも呼ばれています。また、胸にはツキノワグマのように特徴的な三日月模様もあります。

マレーグマ
画像:Ryan E. Poplin

マレーグマは鳥や昆虫、果物などを主な食料としており、木登りに適した体に進化したため小型化していったと考えられています。

出典:wikipedia

 

④ナマケグマ

ナマケグマはナマケモノのようなボサボサの体毛を持つ不思議な熊です。ネパールやインド、スリランカに生息しており、全身が長い体毛に覆われていることが特徴です。

ナマケモノのように曲がった長い爪を持っており、それを使って木にぶら下がることも可能です。その姿があまりにもナマケモノに似ていたため、ナマケグマという名前が付けられました。

ナマケグマ
画像:Faslan

大きな個体では全長が2メートル近くにまで成長しますが、体重は150キログラム程度までしか成長しません。ナマケグマはユニークな姿をしているため、初めて見る人はビックリしてしまうかも知れません。

出典:wikipedia

 

⑤メガネグマ

メガネグマも少し変わった熊の仲間です。エクアドルやコロンビアに生息するメガネグマの顔にはメガネに見える特徴的な模様があります。

メガネグマの全長は大きい個体で2メートルほどで、体重は200キログラム程度にまで成長します。海外の標高3000メートル近い山林に生息しているため、日本ではその存在があまり知られていません。

メガネグマ
画像:Luis Padilla

メガネグマ属に属する熊はこのメガネグマだけであり、とても貴重な種類の熊だといえます。しかし、特徴的な外見のせいで狩りの対象になりやすく絶滅が心配されています。

出典:wikipedia

 

⑥ホッキョクグマ

ホッキョクグマは北極圏やアメリカ北部などに生息する最大種の熊です。最も大きな個体では全長3メートル以上にまで成長し、体重も1トンを超えます。

熊の仲間の中でも最も肉食を好む種であり、アザラシやイルカ、イッカクまでをも捕食します。また、知能も非常に高いことがわかっており、訓練すれば簡単な道具を使えるようになるとさえいわれています。

ホッキョクグマ
画像:pixabay

しかし、温暖化による生息域の減少によって近年では絶滅が心配されています。積極的な保護活動も行われていますが、生息域への侵入の難しさと生殖能力の低さから難航していると言わざるを得ません。

出典:wikipedia

 

⑦ジャイアントパンダ

ジャイアントパンダはジャイアントパンダ属に属する熊の仲間です。特徴的な外見と愛らしい姿から日本でも人気があり、最もファンの多い熊の仲間だといえるでしょう。

中国の山脈を主な生息域としており、外交のために海外に輸出されることもありますが、現在ではホッキョクグマと同じように絶滅の危機に瀕しています。

ジャイアントパンダ
画像:pixabay

全長は大きくても1.5メートルほどで体重も150キログラム程度までしか成長しません。そのためずんぐりとした可愛らしい体型をしています。

竹を主な食料としていますが本来は雑食性のため、魚や昆虫、小型の哺乳類なども捕食します。

出典:wikipedia

 

熊が起こした人食い事件

世界には人と熊が接触することで引き起こされた悲惨な事件が多数存在しています。

ここでは国内で起こった人食い熊の事件をご紹介します。

①三毛別羆事件

三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)は1915年に北海道の三毛別で起こったヒグマによる食害事件です。国内の熊による食害事件の中でも最も有名な事件で、7名の死者と3名の重傷者が出ています。

ある日、民家で6歳の男の子が胸を抉られて死んでいるところを発見されます。一緒にいたはずの女性の姿は見当たらず、家の周りには大きなヒグマの足跡が残されていました。何かを引きずったような跡もあることから女性も殺され熊に連れ去られたのだと考えられました。

三毛別羆事件
画像:pixabay

事態を重くみた村の男衆は30人の捜索隊を結成し、熊退治のために入山します。すると山に入った直後に巨大なヒグマに遭遇しました。

しかし、ヒグマのあまりの大きさに驚いた村人たちはまともに攻撃もできずに逃げてしまいます。そのため熊を仕留めることはできませんでしたが、雪の下から連れ去られた女性のものとみられる遺体が発見されました。

三毛別羆事件2
画像:pixabay

この後、ヒグマは数日にわたり村を襲撃することになります。ヒグマは壁を易々と突き破って屋内に侵入し、子どもや妊婦まで生きたまま食べて回りました。

最終的にヒグマが射殺されて事件は収束しましたが、北海道で起こったこの惨劇に日本中の国民が衝撃を受けることになりました。

 

②石狩沼田幌新事件

石狩沼田幌新事件は1923年に北海道の沼田町で発生した熊による食害事件です。日本で記録されているもの中では二番目に被害が大きかった事件で、5名の死者と3名の重傷者を出しています。

当時の沼田町は祭りが開催されており、近隣から多くの人々が集まってきていました。そこに巨大なヒグマが現れて1人に重傷を負わせ、1人を生きたまま地面に埋めてしまったのです。

石狩沼田幌新事件
画像:pixabay

襲われた一団はパニックになりつつも近くの屋敷に身を隠し、火を焚いて熊を追い払おうと考えます。しかし、熊はそれを気にすることもなく、1人に重傷を与えると50代だった女性を生きたまま咥えて姿を消してしまいました。

数日後、熊の襲撃を聞きつけた猟師たちが応援に駆け付けます。しかし、そのうちのひとりが周囲の反対を押し切り単独で山に入り、発砲音だけを残して行方がわからなくなってしまいました。

その後、300人に及ぶ駆逐チームが結成され、最終的にヒグマを射殺したことで事件の幕は下りています。しかし、その最中でも1人が一撃で殴り殺され、他数人が重傷を負うことになりました。

 

③札幌丘珠事件

札幌丘珠事件は1878年に北海道札幌の丘珠村(おかだまむら)で発生した熊の食害事件です。この事件は猟師の男性が冬眠中のヒグマを発見したことから始まります。

男性はこれはチャンスと銃で撃ち殺そうとしますが仕留めきれず、逆に熊に殺されてしまいます。冬眠から起こされた熊は機嫌を損ねて走り回り市街地にまで下りる騒ぎになりました。

札幌丘珠事件
画像:pixabay

その六日後、丘珠村のある一家をこの熊が襲撃します。夫は出会い頭で熊に殴られて気を失い、妻は頭の皮を剝がされる重傷を負いました。最終的に気絶した夫とまだ幼かった長男が熊に食い殺されてしまいます。

翌日、駆除隊によって熊は射殺され事件は収束しました。この熊は近くの学校で解剖されますが、胃の中からは長男の頭巾や夫の手、妻の髪の毛などが発見されました。

 

④十和利山熊襲撃事件

十和利山熊襲撃事件は2016年に秋田の十和利山(とわりやま)で発生した熊の食害事件です。比較的近年に発生しており、戦後最大の被害が出た獣害事件として世間を騒がせました。十和利山熊襲撃事件は熊の食害事件にしては珍しく、複数の熊によって引き起こされたという特徴もあります。

始まりは鹿角市の山林でタケノコ採りをしていた男性が遺体となって発見されたことでした。また、同じ日に夫とタケノコ採りをしていた女性がツキノワグマに襲われて大怪我をします。この熊は夫に頭を殴られると女性を離して林に逃げ込みました。

十和利山熊襲撃事件
画像:pixabay

二日後にはやはりタケノコ採りをしていた夫婦が熊の襲撃を受けました。幸い夫の「逃げろ!」という声に驚いた妻は無事に逃げることができました。しかし、夫は現場から少し離れた場所で遺体となって発見されました。

一週間後、親子でタケノコを採っていた母親が熊に噛まれて重傷を負い、翌日には行方不明になっていた別の男性が遺体となって発見されます。また、10日後には3日前から行方不明になっていた女性の遺体も発見されました。

同日に猟友会の男性がツキノワグマを射殺しており事件は解決したように思われましたが、後の調査で複数の熊が食害事件に関わっていたことがわかっています。

 

熊の被害に遭わないための対策は?

熊が人間にとって十分な脅威になることはわかりました。しかし、熊の被害に遭わないためにはどうすれば良いのでしょうか?

ここでは熊の被害に遭わないための対策として有効といわれているものをご紹介します。

①山道を歩くときはラジオや鈴の音を鳴らす

山道を歩いているときにはラジオや鈴などの人工物の音を鳴らすようにします。こうすることで熊に人間の存在を教え、不意に鉢合わせるリスクを回避できます。

ラジオや鈴の音を鳴らす
画像:pixabay

熊は臆病な動物であるため、突然人間が目の前に現れると驚いて攻撃をしてしまいます。熊も人間と接触したいわけではないので、不意に鉢合わせないようにすることが被害に遭わないために最も有効だといわれています。

 

②山道にゴミを捨てない

ご飯やお菓子のゴミを山道に捨てると匂いで熊を引き寄せてしまいます。最低限のマナーなので当然と言えば当然ですが、決して山中にゴミを捨てないようにしましょう。

ゴミを捨てない
画像:pixabay

また、お弁当などを持参する場合も匂いが漏れないようにしっかり密封できるものを使用するようにしましょう。

 

③走って逃げない

熊に限った話ではありませんが、肉食動物は自分から逃げる獲物を襲う習性があります。そのため熊に遭遇した際には慌てて逃げてはいけません。

走って逃げない
画像:pixabay

その場を離れる場合は一歩ずつゆっくりと歩くの得策なのです。とにかく熊を刺激しないよう心がけてください。

 

④熊に背中を向けない

肉食動物は背中を向けている獲物を襲う習性もあります。そのため走って逃げなかったとしても熊に背中を向けてはいけません。

背中を向けない
画像:pixabay

熊の目をしっかり睨んで目をそらさず、背中を向けないでゆっくり後ずさりするのが良いといわれています。

 

⑤熊の前で騒がない

熊に遭遇した際には恐怖のあまりパニックになりがちです。しかし、叫び声や大きな音を立てるのは得策ではありません。

騒がない
画像:pixabay

熊は非常に臆病な動物であるため、大きな音にビックリして反射的に攻撃を仕掛けてきます。生き残るためには平常心が最も大切です。

 

⑥死んだ振りをしない

有名な迷信で「死んだ振りをすると熊に襲われない」というものがあります。しかし、熊は死肉も漁るため死んだ振りは全く効果がありません。これは先述した熊の食害事件から明らかになった事実です。

死んだ振りをしない
画像:pixabay

熊は死んだ振りをしているあなたの頭に噛み付いてくるでしょう。そして、何も気にせずあなたを食べ始めます。熊にしてみれば突然弱った獲物が手に入ってラッキーといったところです。

出典参考:wikipedia
画像:pixabay

 

いかがでしたか?熊の種類や人食い事件、出遭ったときの対策などについてご紹介しました。ぬいぐるみのモデルとして世界中で愛される熊ですが、人間の手に負えない危険な動物であることには間違いないのです。