本当は怖い座敷わらし!怖ろし過ぎる伝承とその正体

座敷わらし


見た人を幸福にするといわれている日本の妖怪「座敷わらし」。しかし、座敷わらしには本当は怖い伝承が存在します。
今回は座敷わらしに関する言い伝えとその正体をご紹介します。

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座敷わらし

座敷わらしとは

座敷わらしとは、見た者を幸せにすると伝えられている日本の妖怪です。その名の通り古い座敷や屋内に出没するといわれており、座敷わらしが住み着いた家は経済的にも成功するとされてきました。その一方でイタズラをして人を驚かせるなど、妖怪らしい一面も持っています。しかし、日本では座敷わらしは「幸運の象徴」として扱われており、恐怖するよりも一目見たいという人の方が多いようです。

座敷わらしとは
画像:kuraran

 

座敷わらしの姿

座敷わらしの姿は目撃される家によって様々だといわれています。一般的には着物を着た5歳ほどの子どもの姿で描かれることが多い座敷わらしですが、中学生や高校生ほどの年齢の座敷わらしも存在するとされています。また、頭はおかっぱ髪で、現代というよりは一昔前の子どもの姿をしています。男女どちらの座敷わらしも目撃されていますが、人間ではなく動物のような姿で現れることもあるそうです。

座敷わらしの姿
画像:yuumei

座敷わらしの姿は同じ子どもにしか見えないともいわれています。座敷わらしが現れた際には大人にはその姿が認識できないため、子どもの顔ぶれは変わらないのに何故か一人多いという不思議な現象が起こるとされています。

 

座敷わらしのイタズラ

座敷わらしは夜に現れることが多く、誰もいない部屋で走り回って遊んだり笑い声をあげたりすると伝承されています。また、家中に子どもの足跡が残されていたこともあるようです。

座敷わらしのイタズラ
画像:halfrain

家具や物体にも干渉することがあり、誰もいない部屋の糸車がひとりでに回るのは座敷わらしの仕業であるとされています。子どもに対してはもっと直接的に干渉を示し、一緒になって遊んだり迷子になった際には家まで案内したという話も残っています。

 

座敷わらしの言い伝え

日本各地には古くから座敷わらしについて様々な伝承が残っています。ここでは座敷わらしの言い伝えをご紹介します。

①美しい座敷わらし

岩手県の奥州市には古くから座敷わらしが出現していたという言い伝えが残っています。それによれば座敷わらしは家の様々な場所に現れるが、その場所によって全く異なる姿をしていたとされています。

美しい座敷わらし
画像:inukai

玄関近くや土間で目撃される座敷わらしは小汚い恰好をしていましたが、奥間の座敷に現れるものは容姿も美しく綺麗な着物姿だったといわれています。しかし、当時の座敷わらしは富をもたらす福の神としては扱われておらず、他の妖怪と同様に不気味で恐ろしい存在であるとされていたそうです。

 

②醜い座敷わらし

同じく岩手県にはとても醜い座敷わらしの話も存在しています。ある貧しい男が売れ残った薪を水神への供物として海に投げ入れました。すると水神の使いが現れて男を竜宮城に連れていったのです。男は竜宮城でもてなされ、帰り際に薪のお礼としてとても醜い男の子ども連れて帰るようにいわれます。

醜い座敷わらし
画像:juznobsrvr

この子どもは男の言ったものすべてを現実にすることができたため、貧乏だった男は使い切れないほどの富を手に入れました。しかし、醜い子どもに我慢できなくなった男は遂に家から追い出してしまいます。するとそれまで子どもが現実にしてくれた富のすべてが消え失せてしまったのです。この話は「竜宮童子」と呼ばれ、座敷わらしと同種の存在を描いたものであるとされています。

 

③学校に現れた座敷わらし

明治43年、岩手県遠野市にある小学校に座敷わらしが現れたという記録が残っています。この座敷わらしは6歳の生徒にしか見えなかったといわれており、姿のない何者かと楽しそうに遊ぶ年少生徒を年上の生徒や教員は不思議そうに見守ったといわれています。

学校に現れた座敷わらし
画像:kaccyan

 

④イタズラが過ぎる座敷わらし

岩手県の遠野市で語られる座敷わらしは、夜になるとその家の娘にイタズラをするといわれています。また、香川県には夜になると仏壇から子どものような妖怪が出てきて寝ている家人を一晩中くすぐり続けるという伝承も存在します。座敷わらしはイタズラ好きであるとされていますが、度が過ぎるところもあるようです。

イタズラが過ぎる座敷わらし
画像:ryu-yo

 

⑤恐ろしい座敷わらし

2005年まで岩手県にあった宮守村には恐ろしい座敷わらしの言い伝えが存在しました。とある蔵から恐ろしい唸り声が上がるようになり、それは幾晩も続きました。すると今度は近くの屋敷におかしなものが出現するようになったのです。

恐ろしい座敷わらし
画像:siisaa

それは子どもほどの背丈しかありませんでしたが、夜中になると屋敷中を徘徊し続けました。目撃した村人の話ではそれは黒い獣ような姿をしていたといいます。一般的なイメージとは異なりますがこれも座敷わらしの一種であるとされています。

 

⑥手招きする座敷わらし

岩手県の遠野市にも私たちのイメージとは全く違う座敷わらしが出現しています。ある夜、家人が目を覚ますと部屋の襖が少し空いていました。おかしいなと思っていると襖の隙間から白い手がすーと伸びてきて、ゆっくりと手招きの恰好をするのです。

手招きする座敷わらし
画像:shiropu

その手は確かに人のものでしたが、それが信じられないくらい細い腕だったといいます。これもやはり座敷わらしの仕業であるとされていますが、とても福の神の行動とは思えません。

 

座敷わらしの正体は?

座敷わらしの正体とは一体何者なのでしょうか?ここでは座敷わらしの正体とされているものの中から特に有名なものをご紹介します。

①幽霊説

日本でまだ近代化が進んでおらず、人々が貧しかった時代には「口減らし」という習慣が存在していたといわれています。口減らしとは文字通りご飯を食べる口を減らすという意味であり、一家共倒れを防ぐために親が実の子どもを間引きしていたのです。口減らしにあった子どもは死亡したことを公言できなかったため、墓ではなく土間や軒下に埋められました。

幽霊説
画像:nightmarely

座敷わらしは座敷の他にも土間や台所に出没することも多いため、口減らしにあった子どもの幽霊がその正体ではないかという説があります。座敷わらし(子ども)を追い出した家が不幸になるというのも、子どもの幽霊の怨念が働いているといえるのかも知れません。

 

②大工の呪い説

座敷わらし正体が家を建てた大工の呪いだという驚くべき説も存在します。当時の大工には気持ちよく仕事ができなかったり、職人に無礼を働いた家人がいた際にはその家に呪いをかける習慣があったという話があります。

大工の呪い説
画像:dysny

そうした場合、大工は木片で作った人形を家の要所に埋め込んでいたといいます。これらの呪いが座敷わらしという不思議な現象を生んだのではないかといわれていますが、座敷わらしを目撃すると幸福になるという話には結びつきません。

 

③子ども奴隷説

権力者の家で奴隷として働いていた子どもが座敷わらしの正体だとする説も存在します。当時、戦で身寄りを亡くした子どもたちの多くは、その土地の権力者の屋敷で奴隷同然に働かされていました。しかし、戦争孤児を奴隷にすることは世間体が悪かったため、座敷わらしという存在が生み出されたのではないかといわれています。

子ども奴隷説
画像:SpellbinderImages

家人だけではなく隣人や来客も座敷わらしを目撃することが多かったこともこの説を後押ししています。また、奴隷としての労働力が増えることで権力者の家はますます栄えることになりました。この説が本当だとしたら、戦争で親を亡くし奴隷のように働かされながら、妖怪に仕立て上げられた子どもたちが不憫で仕方ありません。

 

④UMA(未確認生物)説

座敷わらしは河童など他の妖怪と同一視されることがあります。また、人間の姿をしていない座敷わらしも目撃されていることから、座敷わらしのモデルとなったUMAが存在していた可能性もあります。

UMA(未確認生物)説
画像:Vincent-Covielloart

しかし、屋内に侵入するような生物が長いあいだの確認されないままでいるというのは不自然です。野生動物と座敷わらしを見間違える可能性も高くはないでしょう。一体彼らは何を座敷わらしと呼んでいたのでしょうか?

出典:wikipedia
画像:WyldAngel-dolls

 

いかがでしたか?幸福を呼ぶとされる座敷わらしには本当は恐ろしい言い伝えと、正体に関する様々な説が存在しました。こんな座敷わらしなら幸福になるとしても見たいとは思えないですよね。