木星の衛星であり、生命の存在が期待される天体「エウロパ」。NASAの発表により近年注目が集まっているこのエウロパとは一体どのような天体なのでしょうか?
今回は衛星エウロパの大きさや環境、氷の下にあるとされる海や生命の可能性についてご紹介します。
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目次
エウロパ
①衛星エウロパとは
エウロパとは、木星の内側から6番目を周回する衛星(月)です。ギリシア神話に登場するゼウスが恋をする相手「王女エウロペ」にちなんでその名前が付けられました。
有名な天文学者ガリレオ・ガリレイが発見した衛星であり、同じく彼が発見したイオやガニメデ、カリストと合わせて「ガリレオ衛星」と呼ばれています。
画像:NASA
エウロパは地球外生命体が存在する可能性が高い天体としても知られており、液体の水が存在すると思われることから近年では特に注目が集まっています。
②エウロパの大きさ
エウロパの大きさは、直径で約3,200キロメートルあります。地球の衛星である月の直径がおよそ3,500キロメートルであるため、エウロパは月と同じか少し小さい程度の大きさであることがわかります。
画像:NASA
エウロパは天体としては比較的小さく地球や太陽から遠く離れた場所に位置しています。しかし、光を反射しやすい明るい星であるため、地上から双眼鏡でも観測することが可能です。実際にガリレオも双眼鏡でエウロパを発見したと伝えられています。
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③エウロパの重力
エウロパの重力は1.314 m/s2であり、地球のおよそ13%程度しかありません。つまり地球では体重65キログラムの人間が、エウロパの重力下では9キログラムになってしまうということです。
また、エウロパの地表でジャンプした場合、地球よりも7.5倍近く跳躍できる計算になります。これだけ重力が小さいと逆に歩行の妨げになってしまうかも知れません。
④エウロパの気温
エウロパの気温は高い場所でも-148℃程度しかありません。また、最も寒い場所では-223℃にまで表面温度が低下します。
画像:NASA
エウロパの平均気温は-170℃ほどであるため、生命にとって過酷な極寒の星であることがわかります。もっともエウロパは太陽からずっと遠くに位置しているため、極寒の星になるのは当然と言えば当然です。
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⑤エウロパまでの距離
地球からエウロパまでの距離はおよそ628,300,000キロメートルも離れています。こう聞くと凄まじく遠い距離に感じてしまいますが、天文学的に考えれば地球の近所といえるほどすぐ近くに位置しています。
実際、地球からエウロパまでは光の速さでおよそ35分あれば到達することができます。
画像:Pixabay
また、現在の宇宙航空技術があれば探査ロケットでも5年もあれば地球からエウロパに到達することが可能です。
この5年という期間も燃料の節約をしながらエウロパに向かった場合にかかる到達時間であり、エネルギー問題などを度外視するならば1年と1ヵ月程度で到達することもできるのです。
⑥エウロパの環境
先述したとおりエウロパの気温はとても低く、星全体が極寒の環境を持つ天体であるといえます。地表面は大量の氷で覆われ、月や他の衛星に比べてクレーターがほとんどありません。
画像:NASA
衛星エウロパは巨大な木星の引力の影響を受けており、そのエネルギーによって地表の氷にはいくつもの大きな亀裂が生じています。
また、その際に生じる熱量によって、氷が溶けては凍ってを繰り返しているような状況なのです。
⑦エウロパの氷と海
エウロパ地表面の氷は、少なくとも3キロメートルを超える層になっていると考えられています。文字通り氷に覆われたエウロパですが、氷が一度溶けて再度氷結した跡が確認できるため、氷の内部には海が広がっている可能性が高いとされています。
画像:NASA
この海はシャーベット状であると予想されており、海底には地球の海と同じように熱水が噴出する熱水噴出孔が存在しているのではないかといわれています。
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⑧海があるなら生命も存在するのか?
氷の下に海が存在すると予想されることから、エウロパには生命が存在している可能性が高いと考えられています。
エウロパのように表面を氷に覆われた海は地球上にも存在しており、その環境であっても生命が存在できることが確認されています。
画像:NASA
また、太陽の光が届かない深海であっても生命は独自の生態系を築くことが可能であることもわかっています。
地球でも光の届かない深海の熱水噴出孔付近で生命が発見されたことから、太陽から遠く離れたエウロパにも同様の生態系が発生していてもおかしくはないのです。
⑨魚のような宇宙人?エウロパの生命の可能性
地球の海底熱水噴出孔付近ではバクテリアなどの原核生物だけでなく、貝や甲殻類、チューブワームなどのある程度複雑な生物も発見されています。
そのため、エウロパの海が地球の海底熱水噴出孔付近と同じような環境だった場合、同程度の生命体が生息していても何ら不思議ではありません。
画像:masbt
エウロパの生命が存在する世界は一面海のみの閉鎖された環境です。そのため、エウロパには魚のような姿をした宇宙人がいるのではないかと噂されることがあります。
しかし、地球の海底熱水噴出孔の生態系から想像するに、エウロパに高度な知能を持った宇宙人が存在する可能性は決して高いとはいえません。
もちろん未だエウロパの海に対する本格的な調査は行われていないため、今後の調査で想像していたよりもずっと高度な生命体の存在が確認される可能性も捨てきれません。
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⑩NASAのエウロパ計画「エウロパ・クリッパー」とは?
エウロパは人類が確認している天体の中でも比較的地球の近くに位置しており、生命の存在確率が高いとされています。そのため、エウロパはNASA(アメリカ航空宇宙局)による惑星調査対象の最有力候補のひとつに指定されています。
NASAは2020年にエウロパ・クリッパーと名付けられた無人探査機の打ち上げを予定しており、この計画内でエウロパに生命が存在するために必要な要素が揃っているかの調査することになります。
画像:NASA
調査対象となる生命が存在するために必要な要素とは、液体の水やある種の化学物質、エネルギーなどです。
エウロパ・クリッパーによってこれらの要素が確認されれば、エウロパの生命調査はさらに次の段階へ進むことになります。まさにエウロパは今最も生命の存在が期待される惑星だといえるのです。
エウロパ・クリッパーは2020年に地球を出発した後、2025~2026年に木星に到達し、2028年にエウロパの軌道に接近する予定です。
出典参考:wikipedia
画像:pixabay
いかがでしたか?生命の存在が期待される木星の衛星、エウロパについてご紹介しました。
近い将来、私たち人類は地球外生命体を目撃することになるかも知れません。宇宙にはまだまだロマンが溢れています。