氷のマントルに太陽系最速の風!美しい海王星の真実14

海王星


太陽系で最も外側を周回する惑星「海王星」。この海王星とは一体どのような天体なのでしょうか?
今回は海王星の環境や距離、氷のマントルなどをご紹介したいと思います。

 
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海王星

①海王星とは

海王星(かいおうせい)は太陽系の第8惑星です。英名の「Neptune(ネプチューン)」はローマ神話に登場する海の神「ネプトゥーヌス」から付けられました。表面が海に覆われたような綺麗な青色をしており、太陽系外周に位置するもの中では比較的人気の高い天体になります。

海王星とは
画像:NASA

 

②海王星の大きさ

海王星の直径は約49,500キロメートルあり、地球と比べるとおよそ3.9倍の大きさになります。また、質量は地球の17倍に相当します。

海王星の大きさ
画像:NASA

ちなみに太陽が1メートルほどの大きさだとすると海王星はピンポン玉と同じくらいの大きさになります。太陽系最小の惑星である水星と最大の惑星である木星については関連記事でまとめています。

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③海王星の位置

海王星は太陽系の惑星の中で最も外側の軌道を公転しており、太陽から数えて8番目に位置しています。また、太陽から10番目の軌道を公転する冥王星と軌道が交差する期間が発生し、その場合は冥王星の方が海王星よりも内側を公転することになります。

海王星の位置
画像:pixabay

海王星と冥王星の順番の入れ替わりは約250年ごとに発生しており、一度入れ替わると13~20年はその軌道のまま公転を続けることになります。詳しくは関連記事の中でも触れています。

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④海王星までの距離

海王星と太陽は45億キロメートルと気が遠くなるほど距離があります。また、地球と海王星はふたつが最も接近するタイミングでもおよそ43億5000万キロメートル離れています。

海王星までの距離
画像:pixabay

これは光の速さで4時間あれば到達できる距離になります。また、無人宇宙探査機ボイジャー2号が海王星に接近した際は、打ち上げから4388日が経過していました。

 

⑤海王星の重力

海王星の重力は11.15 m/s²で、地球の9.807 m/s²と比べても1.15倍ほどしか変わりません。このため仮に海王星の地表に降り立てたとするならば、宇宙飛行士は地球とあまり変わらない重力を受けるだけで済みます。海王星は土星などに次いで3番目に地球と近い重力環境を持つ星なのです。

海王星の重力
画像:NASA

過酷すぎる惑星環境を持つ金星については関連記事でまとめています。

関連記事:超高温度に異常な気圧!過酷すぎる金星の真実

 

⑥海王星の大気

海王星の大気は水素を主成分として少量のヘリウムやメタンも含んでいます。海王星の鮮やかな青色は大気中に含まれるこのメタンの作用によるもので、同じ太陽系惑星である天王星もメタンを含む大気によって青色に見えます。

海王星の大気
画像:NASA

海王星の大気は半径の10~20%を占めており、質量の10%も大気によるものだといわれています。

 

⑦海王星の一日と一年の長さ

海王星は地球よりも高速で自転しており、その一日はおよそ16時間であることがわかっています。また、公転にかかる期間は164年と長く、一日が早い割には一年間が非常に長い環境になっています。地球人が海王星に住めたと仮定した場合、現在の平均寿命が80~87年ほどですから生後半年程度で寿命がきてしまうことになりますね。

海王星の一日と一年の長さ
画像:NASA

 

⑧海王星の温度

海王星は太陽から遥か遠くに位置しているため到達する熱エネルギーが少なくその地表温度は-220℃ほどしかありません。しかし、海王星の南極は他の場所に比べて温度が高いことがわかっており、この事から地中内部で太陽から受ける熱の2倍のエネルギーを生産していると考えられています。計算された海王星中心部の温度はおよそ6700℃に達します。

海王星の温度
画像:NASA

氷の火山を持つ不思議な冥王星については関連記事でまとめています。

関連記事:氷の火山に巨大衛星!惑星でなくなった冥王星の真実

 

⑨海王星の氷のマントル

海王星は氷でできた分厚いマントルの層を持っており、その質量は地球15個分にもなります。このマントルは水やメタン、アンモニアなどの成分でできており、その温度は4700℃の超高温です。

海王星の氷のマントル
画像:islandcrisis

しかし、このマントルは高温高密度でありながらその成分などから惑星科学の世界では「氷」であると認識されます。ダイヤモンドの海が存在する天王星については関連記事でまとめています。

関連記事:ダイヤモンドの海に長すぎる昼夜!神秘的な天王星の真実

 

⑩海王星の風と謎

海王星には時速2000キロメートルの高速の風が吹いています。この速度は太陽系内で確認されている風の中では最速のものです。1980年代にボイジャー2号が海王星の表面に大暗斑(だいあんはん)と呼ばれる巨大な台風を確認しました。

海王星の風と謎
画像:NASA

しかし、1994年にハッブル宇宙望遠鏡が海王星を観測した際にはこの大暗斑は消滅していました。海王星で発見された規模の大暗斑が短期間で消滅することは考えにくく、この大暗斑の消滅は海王星最大の謎といわれています。不思議な構造物が存在する謎多き火星については関連記事でまとめています。

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⑪海王星は恒星だった?

1612年、ガリレオ・ガリレイは海王星を観測し、それを星図に残していました。しかし、ガリレオは海王星を遠方の宇宙に存在する恒星として認識していたことがわかっています。そのため、彼は海王星の正式な発見者とはされていません。

海王星は恒星だった?
画像:NASA

また、1781年にイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルも海王星を観測していますが、やはり彼もそれを恒星であると誤認していました。その後、天王星が発見されたことで天王星の軌道に影響を与えている天体として海王星が正式に発見されることになりました。生命の父ともいえる太陽の謎や特殊な環境は関連記事でまとめています。

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⑫海王星と冥王星の関係

天王星の軌道に影響を与えている天体として発見されることになった海王星ですが、研究者のさらなる観測によってこの海王星の軌道にも影響を与えているもうひとつの天体「惑星X」が存在することが判明します。この惑星Xが後の冥王星です。海王星は冥王星の発見に深く関わっていたのです。

海王星と冥王星
画像:NASA

 

⑬海王星の輪(環)

土星などと同じく海王星にも輪があることがわかっています。無人宇宙探査機ボイジャー2号は海王星に4層の輪が存在することを発見しました。

海王星の輪(環)
画像: MARK GARLICK

海王星の輪は非常に薄く弧を描いており、土星のものよりも木星の輪に近いものでした。この海王星の輪は宇宙塵(宇宙空間に分布する固体の微粒子)で構成されていることがわかっています。巨大なのに水に浮く奇妙な土星については関連記事でまとめています。

関連記事:巨大なのに水に浮く?不思議で奇妙な土星の真実

 

⑭海王星の衛星トリトン

海王星にはトリトンという第一衛星が存在します。トリトンは14個ある海王星の衛星の中で最も大きく、ギリシア神話に登場するポセイドンの息子トリートーンからその名前が付けられました。トリトンは公転に対して逆回転をする逆行軌道を持つ衛星であり、太陽系の中での逆行衛星の中では最大の大きさを誇ります。地球の衛星である月の謎については関連記事でまとめています。

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海王星の衛星トリトン
画像:NASA

トリトンは地殻内部に液体の水の存在が予想されており、以前は生命の存在が期待されていました。しかし、窒素やメタンが多く海王星の磁場の影響を多分に受けるために高度な生命の存在は難しいのではないかといわれるようになりました。また、トリトンは海王星に引き付けられており、今から約3億年後には海王星に衝突して消滅することがわかっています。

出典:wikipedia,wikipedia,wikipedia

 

いかがでしたか?太陽系の第8惑星「海王星」についてご紹介しました。海王星は遥か遠方に位置するため未だわからないことが多いですが、今後の調査の発展に期待しましょう。