絶滅した太古のハンター!魚竜の生態と絶滅の秘密に迫る

魚竜


魚のようで魚でない太古の海洋爬虫類「魚竜」。一見地味に見える彼らにも古生物が持つ魅力がたくさんあります。
今回は太古の海で大繁栄を極めた魚竜の定義と種類、絶滅の秘密をご紹介します。

合わせて読みたい関連記事
人気の恐竜ランキング!検索数で見る有名な恐竜
恐竜の絶滅はなぜ起こった?怖すぎる大量絶滅の原因
最強の恐竜はこいつだ!太古の生態系王者に迫る

 

魚竜

魚竜とは

魚竜とは、三畳紀から白亜紀にかけて繁栄した水棲爬虫類です。大きなイルカのような姿をしており、ジュラ紀の海では生態系の中でも上位の捕食者でした。しかし、白亜紀になるとその地位を大型の首長竜に奪われることになりました。

魚類とは
出典:wikipedia,wallpaperswa

首長竜がゆったりとした泳ぎしかできなかったのに対し、魚竜は非常に高速で泳ぐことができました。その遊泳力を生かし顎に並んだ鋭い歯で原始的なイカなどの頭足類を捕食していたといわれています。

 

魚竜は恐竜じゃない?

魚竜はその名に「サウルス」を持つものが多いことから恐竜と並んで紹介される機会が多いです。そのためよく誤解されることですが、魚竜は恐竜ではありません。首長竜などと同じく海に適応し、独自の進化を遂げた爬虫類なのです。詳しくは関連記事の中でも触れています。

関連記事:恐竜に種類なんてあるの?あなたの知らない古生物学

魚竜が爬虫類からどのように進化したかはわかっておらずその祖先にあたる種も発見されていませんが恐竜や首長竜と同じく三畳紀に発生し、やはり白亜紀に絶滅することになりました。

 

魚竜の種類

三畳紀、ジュラ紀、白亜紀と太古の海の捕食者として繁栄した魚竜ですが、実際にはどのような種類が存在したのでしょうか?ここでは特に有名な種類の魚竜をご紹介します。

 

イクチオサウルス

イクチオサウルスは、ジュラ紀の地球に生息していた魚竜です。体長は2mほどで現存のイルカの似た姿をしていましたが、生態的地位としては現在のサメに近いものでした。魚類全般の特徴でもありますが非常に大きな目も持っています。また、頭の骨格から聴力も発達していたことがわかっています。イクチオサウルスは太古の海を高速で泳ぎまわり、イカなどを捕食するハンターでした。

イクチオサウルス
出典:wikipedia,paleopeter.deviantart

 

ウタツサウルス

ウタツサウルスは、三畳紀の海に生息していた原始的な魚竜です。体長は最大で4mに達しましたが細長い身体付きをしていました。その細長い体をくねらしながら現存のウナギのような泳ぎ方をしていたのではないかと考えられています。頭は小さいですが大きな目と鋭い歯を持っていました。

ウタツサウルス
出典:wikipedia,Nobu Tamura

 

エクスカリボサウルス

エクスカリボサウルスはジュラ紀の地球に生息していた魚竜です。この種類の魚竜は体長が7mにも成長する大型のハンターでした。また、長く飛び出したクチバシのような上顎が特徴で、その姿からアーサー王の伝説の剣「エクスカリバー」の名前が付けられました。

エクスカリボサウルス

この上顎は獲物を捕まえる際に武器として使用したり、海底に隠れた獲物を探すのに使われたといわれています。

出典:wikipedia,ArthurWeasley

 

オフタルモサウルス

オフタルモサウルスはジュラ紀の地球に生息した魚類で体長は4mほどにまで成長しました。目は直径10cmにもなる巨大なもので、深海などの暗い海でも獲物の動きを把握する役割があったと考えられています。そのためオフタルモサウルスは比較的深い海に生息していたとされています。

オフタルモサウルス
出典:wikipedia,Dmitry Bogdanov

 

ショニサウルス

ショニサウルスは三畳紀に生息した史上最大の魚竜です。その体長は15mに達し、体重は35トンにもなりました。長く発達した顎には先端にだけ歯が生えており、体も丸みを帯びた特徴的な姿をしています。胴体に生えたヒレも非常に大きく逆に背びれは発達していませんでした。

ショニサウルス
出典:wikipedia,prehistoric-world7.webnode

 

テムノドントサウルス

テムノドントサウルスはジュラ紀の地球に生息した魚竜です。比較的大型の種類で成長すると体長は9mにもなりました。肉食恐竜に近い歯を持っており、現存のシャチのように積極的に狩りをする捕食動物だったと考えられています。また、テムノドントサウルスの目は直径25cmを超え、史上最大の目を持つ生物でもありました。

テムノドントサウルス
出典:wikipedia,Dmitry Bogdanov

 

ユーリノサウルス

ユーリノサウルスはジュラ紀の海に生息した大型魚竜で、体長は10mほどまで成長しました。カジキマグロのように長く発達した顎は魚群の中で振り回すことで獲物に傷を負わせることができました。魚竜のヒレは前後の長さが違うのが一般的ですが、ユーリノサウルスはほとんど同じ長さのヒレを持っていました。

ユーリノサウルス
出典:wikipedia,ArthurWeasley

 

魚竜はどうして絶滅したのか?

白亜紀後期には大量絶滅が発生し、恐竜や首長竜などの多くの生物が地球上からその姿を消すことになりました。この大量絶滅は隕石の落下や火山の活性化など急激な環境変化が重なったことで引き起こされたといわれています。恐竜の絶滅は関連記事の中でも詳しく触れています。

関連記事:恐竜の絶滅はなぜ起こったのか?怖すぎる大量絶滅の原因7

しかし、魚竜は恐竜たちよりも約2500万年も早く絶滅したことがわかっています。つまり、白亜紀の大量絶滅以外にも魚竜たちを追い詰める原因があったということです。その原因とは一体何だったのでしょうか?

魚竜 絶滅
出典:wikipedia,hubpages

魚竜が絶滅した原因は、餌となる生物の進化と生態的ライバルの出現だと考えられています。魚竜は流線形の体や大きなヒレの発達させたことにより高い遊泳力を備え、ジュラ紀の海では大繁栄を極めました。しかし、白亜紀に入ると餌となる生物たちも同じく遊泳力を発達させ、高速で逃げ回るようになりました。これにより魚竜は圧倒的な捕食者ではなくなってしまいます。

魚竜にさらなる追い打ちをかけたのが生態系的ライバルとなる首長竜の存在でした。白亜紀に入ると首長竜の仲間はどんどん巨大化し、魚竜に代わって生態系を支配するようになりました。魚竜に残された数少ない獲物も首長竜と奪い合わなければならなくなってしまったのです。首長竜との生存競争に敗れた魚竜は次第に数を減らし、白亜紀後期の激しい環境の変化に適応できないまま、いち早く地球から姿を消してしまったのです。

 

画像:TomCatX

いかがでしたか?一見地味な魚竜ですが、古生物の持つロマンを十分に感じさせてくれたのではないでしょうか?太古の海を高速で泳ぎまわった魚竜たちの姿に、想いを馳せることにしましょう。